TOEICが大学入学共通テストから撤退!
記事公開日 2019/07/03
TOEICが大学共通テストで利用不可に!?
2020年度以降の大学入試で活用される英語民間試験のうち、TOEICの利用が取り下げられることが決定しました。
メジャーな英語資格試験であるTOEICが、唐突に大学入試を撤退したことで、受験生・入試関係者の間では動揺が広がっています。
共通テストでは英語民間試験が活用される!
2020年度から大学入試改革が始まり、センター試験に代わって大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が実施されるようになります。
この共通テストの英語科目では、「読む力」と「聞く力」に加えて、「書く力」と「話す力」を評価するために、「英語資格検定試験」が活用されるようになります!
英語資格検定試験とは「英検」や「TOEIC」といった民間で実施されている英語試験のことで、大学受験においては以下のような形で活用される予定です。
・出願資格(一定のスコアを取得していないと受験できない)
・試験免除(指定のスコア以上を取得している場合、英語の試験を免除)
・加点(スコアに応じて英語の試験に得点を加点)
・得点換算(スコアに応じて英語の試験の得点を換算、満点にするケースもある)
・総合判定(合格ラインで並んだときの判定材料など)
受験者は、高校3年生の4月~12月に、2回まで、大学入試に利用できる英語民間試験を受験することができます。
2020~2023年の間は共通テストでも英語の試験が実施されますが、2024年度以降は実施されず、英語の能力はやがて英語民間試験のみで評価されるようになる見通しです。
「TOEIC L&R/S&W」が大学入試共通テストを撤退・・・
共通テストに利用できる英語民間試験は、2018年度の時点で以下の8つと定められていました。
・ケンブリッジ英語検定
・実用英語技能検定(英検)
・GTEC
・IELTS
・TEAP
・TEAP CBT
・TOEFL iBT
・TOEIC L&R/S&W
しかし、昨日2019年7月2日。
突然、TOEICを実施している国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)がTOEIC 試験(TOEIC L&RおよびTOEIC S&W)の大学入試英語成績提供システムへの参加を取り下げると発表したのです・・・!
TOEIC Testsは4技能を測定できる試験ではございますが、TOEIC L&RとTOEIC S&Wが別々に実施される形態となっております。
本システムへの社会的な要請が明らかになるにつれ、それらに対応するためには、受験申込から、実施運営、結果提供に至る処理が当初想定していたものよりかなり複雑なものになることが判明してまいりました。
このため、現時点において、協定書締結に向けた大学入試センターとの協議が完了しておらず、当協会として本システム運用開始において責任をもって各種対応を進めていくことが困難であると判断いたしました。
これ以上意思決定時期を遅らせることで、受験者の皆様をはじめ、保護者、学校関係者の皆様にご迷惑をおかけしないように、当協会といたしましては、「TOEIC L&RおよびTOEIC S&Wの大学入試英語成績提供システムへの参加申込を取り下げる」との判断に至りました。
文部科学省の大学入試センターは、これを受けて以下のように発表しています。
「TOEIC?Listening & Reading TestおよびTOEIC?Speaking & Writing Tests」の参加申込み取り下げの申し出について
〇令和元年6月28日に一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(以下「IIBC
」という。)より、TOEIC?Listening & Reading TestおよびTOEIC?Speaking & Writing Tests(以下「TOEIC」という。)について、大学入試英語成績提供システムへの参加申込み取り下げの申し出がありました。
〇これにより、TOEICは、大学入試英語成績提供システムに参加しないこととなりました。
〇なお、平成31年3月28日に文部科学省より、一部の例外措置の対象試験にTOEICが含まれることが公表されています。今年度受験したTOEICの成績については、次年度における「例外措置」の対象に含めることとします。詳細については、後日文部科学省からお知らせいたします。
英語民間試験の「例外措置の対象」とは?
上に記した「一部の例外措置の対象試験にTOEICが含まれる」という文章ですが、この例外措置というのは、
・非課税世帯であるなど経済的に困難な事情を証明できる場合
・離島・へき地に居住または通学している場合
・病気等のやむを得ない事情により受検できなかった等の者であって特別に配慮すべきとされた場合
などに、前年度の試験結果を利用できるという措置を指します!
TOEICは大学入試への参加を取り下げたため、本来はこの措置の対象外となるのですが、高校2年生の方で既に共通テスト利用目的でTOEICを受験した方がいる可能性をふまえて、2020年3月までの試験結果は利用できるように定めたんですね。
ただ、これはやむを得ない場合の処置ですので、通常どおり高校3年生でTOEICを受験しようと考えていた方は、残念ながら他の英語民間試験の受験を考えなければなりません・・・。
TOEIC 撤退による受験生への影響は?
TOEICの受験率は低めですが・・・
昨年行われた文部科学省の調査では、TOEICを受けようと考えていた高校生は全体の1.8%であったとされています。
このようにしてみると少なく感じますが、実際の人数にすると約2万3千人!
決して少ない人数ではありませんよね・・・。
TOEICはビジネス英語が多く出題される試験で、完全に受験向け、学生向けという内容ではありません。
その分、受験を考えていた方は、今までTOEICに特化した勉強を行ってきたはずです。
その勉強時間が無駄になってしまったということを考えると、これは大きな問題です・・・。
また、TOEICは早い時期から英語資格検定として教育現場に登場していました。
そのため、英語コースなどにおいて、全員TOEICの受験を必須としている、または受験料を学校側が受け持つなどして、受験を推奨している高校もよく見られます!
しかし、大学入試からの撤退が決まったことで、TOEICは、学校から受験を推奨されているのに肝心の入試では利用できないという、高校生にとって不思議な立ち位置の民間資格試験になってしまったのです・・・。
TOEICはなぜ大学入試を撤退したの?
今回TOEICが大学入試を撤退したのは、大学入試センターから、
・「聞く・読む」(L&R)と「話す・書く」(S&W)の試験が別日程であり、その日程も離れていたが、4技能の一体化を図るため、日程を近づけるように指示されたこと
・早い時期の受験での成績提出にも対応できるように、全体の日程を早めるよう指示されたこと
・「聞く・読む」(L&R)と「話す・書く」(S&W)の2試験の合計点数を足すだけではなく、申し込み段階からの一体性を要求されたこと
などが撤退の原因だと考えられています。
これらは、試験が2つに分かれていること、社会人の受験者が多いこと、世界共通日程で実施されていることなどから、日程がずらしにくいTOEICだからこそ発生した問題ですね。
2018年の段階で参加資格があるかという審査を通過していたはずのTOEICが、あと半年で受験可能期間スタートという時期に突如撤退したため、残りの試験も突然利用できなくなるのでは・・・という不安の声も挙がっていますが、TOEIC以外の7種類の試験は、予定通り実施される見通しですよ!
共通テストの英語民間試験は結局どれがいい?
では、2020年度以降、受験生は7種類のうち、どの民間試験を受けるべきなのでしょうか?
まず、共通テスト英語民間試験は、大半の高校生が身近な「英検」を利用することになると考えられます!
国内最大級の英語資格試験ですし、小~中学生の頃から受けたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
英検の次に多くなるのは「GTEC」や「TEAP」でしょう!
GTECは株式会社ベネッセコーポレーションの作成している試験で、日本の中高生に適した内容が出題されます。
また、TEAPは上智大学と公益財団法人の日本英語検定協会が共同で開発した試験で、大学教育レベルにふさわしい英語力を測ることを目的に作成されています。
つまり、「英検」「GTEC」「TEAP」などの日本人向けの試験は、受験等で活用されることを見込んで開発されている部分があるため、高校の教育課程に沿った内容が出題されやすいのです!
本物の英語力を測るという点では世界共通の民間試験を受けることも大切ですが、「一番合格の近道になる民間試験」という観点では、出題傾向の面から見て、上記3つがおすすめだと考えられますね♪
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