2019年5月10日、大学無償化法が成立！その法案内容とは？

本日可決された大学無償化法の「内容」「対象者」「在学生への無償化適用」「所得制限」「支給額」「対象大学」についてまとめています。

そもそも大学無償化法とは？

文部科学省は以下のように定義しています。

●高等教育の無償化の趣旨

低所得者世帯の者であっても、社会で自立し、活躍することができる人材を育成す
る大学等に修学することができるよう、その経済的負担を軽減することにより、我が
国における急速な少子化の進展への対処に寄与するため、真に支援が必要な低所得者
世帯の者に対して、①授業料及び入学金の減免と②給付型奨学金の支給を合わせて措
置する。

●制度の概要

【支援対象となる学校種】大学・短期大学・高等専門学校・専門学校
【支援内容】①授業料等減免制度の創設　②給付型奨学金の支給の拡充
【支援対象となる学生】住民税非課税世帯 及び それに準ずる世帯の学生

簡単にまとめると･･･

・母子家庭等の理由で所得の低い世帯の高校生が進学する場合、授業料や入学金を減らしたり、免除したりしてもらえるようになった。
・加えて、アルバイト漬けにならないで済むように、生活費も補助してもらえるようになった。
・補助が貰える進学先は「大学・短期大学・高等専門学校・専門学校」の4種類。
（詳細は「大学無償化法の対象大学は？」の項目をチェック）

大学無償化法の対象大学は？

大学無償化法の対象大学は、学問追究と実践的教育のバランスが取れている大学等とされており、以下の要件を満たすことが必要です。

１．実務経験のある教員による授業科目が標準単位数（４年制大学の場合、１２４単位）の１割
以上、配置されていること。
※ 例えば、オムニバス形式で多様な企業等から講師を招いて指導を行っている、学外でのインターンシップや実習等を授業として位置付けているなど主として実践的教育から構成される授業科目を含む。
※ 学問分野の特性等により満たすことができない学部等については、大学等が、やむを得ない理由や、実践的教育の充実に向けた取組を説明・公表することが必要。

２．法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること。

３．授業計画（シラバス）の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること。

４．法令に則り、貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を開示していること。

〔経営に課題のある法人の設置する大学等の取扱い〕
★教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学等について、高等教育の負担軽減により、実質的に救済がなされることがないよう、文部科学省の「学校法人運営調査における経営指導の充実について」（平成３０年７月３０日付３０文科高第３１８号高等教育局長通知）における「経営指導強化指標」を踏まえ、次のいずれにもあたる場合は対象としないものとする。

・法人の貸借対照表の「運用資産－外部負債」が直近の決算でマイナス
・法人の事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近３カ年の決算で連続マイナス
・直近３カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の８割を割っている場合

なお、専門学校に適用する際の指標は、大学の指標を参考にしつつ設定する。

在学生は大学無償化法の対象者？

大学無償化法の対象となるのは、まず、2020年4月時点で高校生、または高校卒業から2年以内の人（浪人中の人）で、年収380万円未満の人です。

では、既に大学・短期大学・高等専門学校・専門学校に入学している在学生についてはどうなるのでしょうか。
文部科学省は大学無償化法の在学生への対応について、以下のように定義しています。

●制度の概要

【実施時期】2020年4月
（2020年度の在学生（既に入学している学生も含む。）から対象）

このように、2020年度時点で既に大学に入学している在学生も、大学無償化法の対象者に含まれます。

在学中の学生については、直近の所得や学業等の状況から、支援対象者の要件を満たすかどうかを判定されます。
また、予想できない理由により家計が急変して即座に支援が必要になったという場合、急変後の所得の見込みが支援対象の要件を満たすと判断された場合、すぐに支援を始めてもらうことが出来ます。

その他、以下のような条件があります。

○現在の給付型奨学金の取扱いと同様に、以下を要件とする。

・日本国籍、法定特別永住者、永住者又は永住の意思が認められる定住者であること。
・高等学校等を卒業してから2年の間までに大学等に入学を認められ、進学した者であって、過去において高等教育の無償化のための支援措置を受けたことがないこと。
・保有する資産が一定の水準を超えていないこと（申告による。）。

大学無償化法の支給額は？

授業料・入学金の減免額

	国公立		私立
	入学金	授業料	入学金	授業料
大学	約28万円	約54万円	約26万円	約70万円
短期大学	約17万円	約39万円	約25万円	約62万円
高等専門学校	約8万円	約23万円	約13万円	約70万円
専門学校	約7万円	約17万円	約16万円	約59万円

＜上限額の考え方＞

（国公立）
入学金・授業料ともに、省令で規定されている国立の学校種ごとの標準額までを減免。
（私立）
入学金については、私立の入学金の平均額までを減免。
授業料については、国立大学の標準額に、各学校種の私立学校の平均授業料を踏まえた額と国立大学の標準額との差額の2分の1を加算した額までを減免。

給付型奨学金の額

学校の種類	自宅生	自宅外生
国公立	約35万円	約80万円
私立	約46万円	約91万円

※高等専門学校の学生については、学生生活費の実態に応じて、大学生の5割～7割の程度の額が措置される。

大学無償化法の財源は？

【財源】

少子化に対処するための施策として、消費税率引上げによる財源を活用。
国負担分は社会保障関係費として内閣府に予算計上し、文部科学省において執行。

つまり、消費税が10％になるから、そこから集めたお金を使おうということですね。

大学無償化になる学生の年収・所得制限は？

大学無償化法には、以下の所得制限がありますので注意して下さい。

所得（年収）	支給額
約270万円（住民税非課税世）	全額
約300万円	住民税非課税世帯の学生の3分の2
約380万円	住民税非課税世帯の学生の3分の1

また、大学入学後の学習状況に関する条件をクリアする必要があります。
ちなみに、高校在学時の成績が悪くても、高校側がレポートの提出や面談等により「本人の学習意欲や進学目的等を確認できる」とした場合、支援を受けることが出来ます。
大学無償化法の恩恵を受けるために大切なのは、大学進学後の成績です。
具体的な学習条件は以下のようになります。

○次のいずれかの場合には、直ちに支援を打ち切る。なお、その態様が著しく不良であり、懲戒による退学処分など相応の理由がある場合には支援した額を徴収することができる。

i 退学・停学の処分を受けた場合
ii 修業年限で卒業できないことが確定した場合
iii 修得単位数が標準の５割以下の場合
iv 出席率が５割以下など学習意欲が著しく低いと大学等
が判断した場合

○次のいずれかの場合には、大学等が 「警告」を行い、それを連続で受けた場合には支援を打ち切る。

i 修得単位数が標準の６割以下の場合
ii ＧＰＡ（平均成績）等が下位４分の１の場合
（斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を検討中）
iii 出席率が８割以下など学習意欲が低いと大学等が判断した場合

大学無償化法の施行は2020年4月！

賛否はありますが、今回可決した大学無償化法によって、全ての高校生が平等に学習機会を得られるようになれば良いですね！
以上、大学無償化法の詳細まとめでした♪

参考：高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要

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